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 my favorite 赤川次郎作品

杉原 爽香シリーズ1976年に始まり、一年に一冊のペースで出され、登場人物も一つずつ歳をとって行くという、ほかではあまり見受けられない企画作品。
【 】で囲んだものは赤川氏からのメッセージではないか、と私が思ったこと。
爽香20歳  25歳  30歳  35歳  40歳  45歳
表紙
カバーイラスト永田力
タイトルはどこから 爽香と明男 爽香の両親と兄夫婦 爽香の親友浜田今日子 河村夫妻 事件について 当時の世の中

若草色の
ポシェット
1988年
杉原爽香15歳の秋。教室で殺されていた親友松井久代が持っていたポシェット
当時は「さわやか」とニックネームがついていた。久代が殺された次の日丹羽明男は同じクラスに転校してくる。明男の母は周子(かねこ)。 25歳の兄充夫とその妻則子は土曜には帰ってくる。
母は真江父は成也。
同じクラスの優等生。クラス委員をしている。 爽香の親友。美人。 まだ安西衣子(22歳)と河村太郎(27歳)とは結婚していない。安西衣子が 爽香の担任に。 みんなから不良扱いされていた松井久代が4日間行方不明の後殺された。 コインを入れる公衆電話

【子供は親の持ち物ではない】

群青色の
カンバス
爽香16歳の夏。
合宿所の近くで写生していた老人画家のキャンバス。群青色の空が描かれていた。
明男もブラスバンド部に引っ張られた。
やっとファーストキス。
【人を固定観念で見てはいけない】
則子妊娠7ヶ月。 ブラスバンド部でホルン担当。
2年の仲田光夫に想いを寄せる。
河村刑事はアタックしているが、衣子の父親が反対している。 画家が殺され、女が自殺しかけた。 爽香も二度も死に掛けた。 クラブの合宿はキャンプファイヤーやフォークダンスではなくロックパーティ。

亜麻色の
ジャケット
爽香17歳の冬。
池に落ちた女が手に持っていたジャケット
友達付き合い。
まだ明男の母親周子にはさほど嫌われていない。
長女綾香誕生。則子の旧姓が辻井だとわかる。 医学部進学を決める。仲田光夫と付き合うが、その父親に阻まれる。殺し屋に捕まった。 河村刑事プロポーズ。
衣子の父親に反対されて、OKの返事はまだ。
美術館で女が池に落とされ逃げてくる。記憶喪失になったその女が狙われる。

薄紫の
ウィークエンド
爽香18歳の秋。
冒頭がウィークエンド。薄紫は 爽香たちが大人になりかけを表す色
明男の母に 爽香は嫌われだす。 爽香との約束を母の仮病で明男は破らされてしまう。 父が脳溢血で倒れる。母もかなり心身ともに参っている。その母に兄夫婦は子供を預ける。 高校3年。
マリファナにかかわる金持ちのボンボン(只野康之)にお熱。
河村30歳、衣子25歳。
まだお預けを食らっている。
只野の会社の裏金工作に利用された男の悲劇。
【話し合えない夫婦ほど悲しいものはない】
公衆電話がテレフォンカードで使用。

琥珀色の
ダイアリー
爽香19歳の春。 爽香の誕生日は5月9日。家庭教師をした志水多恵が大事にしていた日記 爽香は家庭教師のアルバイトで生徒(多恵)と、別荘へ。その間、周子は明男を温泉に連れて行き、刈谷祐子と引き合わす。 父リハビリが進み、不自由ながら退院。 医学部一年。恋愛はこりごりと言っているが・・・ ついに婚約!7月27日結婚式予定。
【権力を振り回しても本当の幸せは得られない。】
他人から見れば何不自由のない多恵の父親がコンプレックスを持っていた。 コードレスの電話登場。
まだまだ金持ちのもの。

緋色の
ペンダント
爽香20歳の秋
中林有美がつけていたペンダント。
明男は刈谷祐子と付き合っている。 爽香とはギクシャク。周子にはこれ以上ないぐらい嫌われている。 爽香の勧めで人間ドックに行った母。 爽香も道連れに。しかし、心臓に異常が見つかったのは・・ ガリベン君に一目ぼれされてしまう。今日子に相談された 爽香が口出しして逆恨みされる。 衣子長女出産。名前は「爽子(さわこ)」 筒井の妻とガリベン男の両方に 爽香は命を狙われる。 このページのトップへ

象牙色の
クローゼット
爽香21歳の冬。
変質者の悲しい過去を知っている象牙色のクローゼット
河村家の居候、由季と出会う。自分のバイト先を紹介する。
明男の前に中丸真理子登場。
明男とは決別。
爽香は父と母に温泉旅行をプレゼントするためにバイトを始めた。 河村は連続事件に引っ張りまわされて疲労、衣子は由季と爽子の世話。 女性ばかりを狙った連続殺人事件。 【幼い頃の生活環境が人格を形成する】

瑠璃色の
ステンドグラス
爽香22歳の夏。
里美が五十嵐と結婚式を挙げたかったチャペル。
明男は中丸真理子との仲は学校中に知れている。刈谷祐子はギクシャク。 爽香はアルバイト先で野崎に想いを寄せられる。 兄夫婦には三月に長男が生まれた。 妻のいる男と不倫。 爽香にカムフラージュを頼むが断られる。 爽香たちのお手本になりそうなぐらい仲のいい夫婦。 大学事務室のマドンナ和田良江が姉と心中したはずの男を見つけた。中丸真理子が事故に遭った。

暗黒の
スタートライン
爽香23歳の秋。
このタイトルは内容を読めば納得がいく。
別れたはずの明男から頼られて、かくまうが・・
爽香は骨董品店で働く。 爽香には野崎という恋人がいる。刈谷の恋人田端も・・
両親は 爽香に理解を示すが、則子は 爽香と縁を切ると言って来た。 医学部の先生と不倫。
爽香に不倫旅行の手伝いをさせる。
衣子妊娠中。


【本当の愛情とは見捨てないこと】かな?
大学教授の中丸の夫人が殺された。ずるずると付き合ってきた明男に疑いがかかり追われる。 爽香のうちにもコードレスの電話。
表紙 タイトルはどこから 爽香と明男 爽香の両親と兄夫婦 爽香の親友浜田今日子 河村夫妻 事件について 当時の世の中

小豆色の
テーブル
爽香24歳の春。
英子の友人相良栄子がケア付きマンションに持ち込んだテーブル。
爽香は高齢者用ケア付きマンションに勤める。明男は拘留中。面会には周子と共に行く。婚約者が殺人犯ということで色眼鏡で見られる。明男は懲役2年。 則子が 爽香と没交渉。 長男達郎生まれる。 元女優の栗崎英子が子供たちに財産を狙われる。 爽香も狂言誘拐に巻き込まれる。 G興産の田端将夫から携帯電話を持たされる。

銀色の
キーホルダー
爽香25歳の秋。
列車の中で間違って 爽香のポケットに入れられたG興産社長の別荘の合鍵。
明男は模範囚として年末に仮釈放。 充夫は若い緑川ひとみと浮気して妊娠させる。則子に追い出され、実家にもどっている。 三人の彼氏と付き合っている。 理想的な4人家族。 G興産の社長の椅子をめぐる抗争に 爽香も巻き込まれる。そのため、田端将夫の母にも気に入られる。 【辛いことや苦労することが幸せと感じることもある】

藤色の
カクテルドレス
爽香26歳の春。
Pハウスの栗原英子の映画でエキストラで出た 爽香の衣装。引き続き明男との婚約披露パーティになった。
明男は河村の勧めた運送会社で働いている。G興産の田端と祐子は7月挙式。 則子3人目妊娠。 河村は相変わらず事件で飛び回っている。衣子も忙しいが、家族として理想的であることには変わりがない。 田端と刈谷祐子の結婚アドバイザー畠中澄江は10年前目の前で先輩が殺されるという体験をしていた。 【命はなくなっても過去の業績は残る】

うぐいす色の
旅行鞄
2000年
爽香27歳の秋。
明男とふたりの新婚旅行のために買ったかばん
これは「色+カタカナ語」に反している。
河村夫妻の仲人で二人は結婚する。新婚旅行の鞄が心中しようとする不倫旅行の二人の鞄とまるで同じだった。 充夫は何かと理由をつけて借金の返済を免れようとする。 医師となった今日子は今は天才脳外科医と付き合っている。その男と看護師との温泉旅行についてゆく。 7歳の女の子が殺され、その捜査に小学校へ行ったとき河村は過労で倒れる。そこで保健室担当の早川志乃と出会う。 河村の同僚が刺された。児童殺人犯に。自分も胃潰瘍でいの分の2を切り取った。 【やり直したい時他人を傷つけてはいけない。】

利休鼠の
ララバイ
爽香28歳の冬。
「城ヶ島の雨」という歌の中にある利休鼠の雨が降る、という詩から。
明男は客としての三宅舞と知り合う。
祐子は9月に流産。
新しいプロジェクトに 爽香起用される。
充夫はまた社内恋愛。 医師としての貫禄十分。 河村は退院したがデスクワークに回される。その失望の隙間に志乃が入り込んできた。野口は衣子に思いを寄せる。 英子の知り合いのバリトン歌手喜美原の相続騒動。
衣子のクラスの生徒が自殺した。
衣子辞任された。
ケータイが盛んに出てくる。


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濡羽色の
マスク
爽香29歳の秋。
爽香の「黒い仮面をつけて仮装舞踏会へ出るのとは違うんです。」ということばから。
祐子は7ヶ月。
G興産のプロジェクトは次第に本格化。
充夫の恋愛相手は妊娠。 まじめに医師をやっている。 衣子は新しい職場、志乃には子供が生まれた。 さとみという子の母が河村の目の前で殺される。 大学教授で大臣に起用された人物が出ている。

茜色の
プロムナード
爽香30歳の春。
このタイトルは河村と志乃の間に出来た子供の名前「あかね」から来ているのだろうか・・
爽香の秘書に麻生。レインボウプロジェクトは土地の確保に・・
舞がイギリスへ2〜3年。
珍しく今回音沙汰なし。相変わらず田端への借金返しはしていないようだが。 今回もやり手の医師としてのみ出演。 河村はあかねを認知。爽子がバイオリンを習う。舞を助けるため野口が撃たれた。 老人に一億円の宝くじが当たった。それをめぐって・・
舞がストーカーに付きまとわれる。
老人ホーム設立の説明会にいちゃもんをつけようとする人たち。

虹色の
ヴァイオリン
爽香31歳の冬。河村と衣子の間の長女がヴァイオリンを習っているところから。虹色はひときわ多彩な人間模様を表している? 爽香忙しすぎ。秘書の麻生に恋人が。
明男は今回脇役に徹している。
来年何かが起こりそうな余韻を残して終わっている。
またまた充夫の自堕落ぶり。
充夫の嫁に責められ、母親は 爽香を頼らざるを得ない。
とても頼りになる医師振りを発揮。

【こどもって素晴らしい!】
志乃の娘がさらわれ、河村と対立。河村と志乃の行く末は・・・ 志乃のアパートの隣に越してきた男がキーパーソン。 レインボープロジェクトも不況の中で社内でも反対派がいる。
それだから田端も母親を頼りにする。

枯葉色の
ノートブック
爽香32歳冬。
今回の物語の鍵を握る柳井智恵子の持っていたノートから。
この巻では仲のいい状態を保った。 兄夫婦は冷め切っているようだ。充夫も仕事を見つけてやっている。借金返しはする気配ないが。
娘が・・・
爽香の体を気遣う医師としてのみ登場。 娘のバイオリンのこと、河村の体のこと、心配の種は尽きないが、早急にどうと言うことはなかった。 爽香の部下が事件を起こす。 爽香の気の休まる暇はない。 ケアハウスの経営の難しさ。
機器としては携帯電話が出てきたぐらい。
表紙 タイトルはどこから 爽香と明男 爽香の両親と兄夫婦 爽香の親友浜田今日子 河村夫妻 事件について 当時の世の中

真珠色の
コーヒーカップ
爽香33歳。春かな?
ビルの谷間の喫茶店「ラ・ボエーム」のコーヒーカップから。マスターが 爽香には似合うというカップ。
この見せのスポンサーは・・?
また舞が出てきて、危ういが、以前ほどではなさそう。この巻では明男はなかなかいい感じ。


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両親が出てこなくていらいらさせられなかったが、兄は相変わらず。会社の金に手をつけて首に。 爽香に娘を使って借金する。 相変わらず、 爽香を気遣いつつ、サポートする女医として登場。 河村は今ガードマンとして働いている。 爽香の相談相手であることは変わりない。昔のつてがあるから事件に関する情報収集に役立つ。
娘はコンサートを開くまでになっている。
爽香の姪が暴走族の闘争に巻き込まれそうになる。暴走族「レックス」のトップの緑川邦夫がこれからも出てくるかもしれない 爽香がいつも風呂上りに使うというパソコンが登場している。やはり、ケアハウスの経営の難しさ、マンション業界のやりにくさなど。

桜色の
ハーフコート
爽香34歳。春かな?
殺された 爽香の部下の娘が着ていたコートから。
舞も出てきたが、今回は1行のみ。
おおむね仲がよかった。
安心して読めた。
今回も両親、兄が出てこなくていらいらさせられなかった。 志乃の主治医になる。
志乃は子宮がんであったが助かる、
衣子の勤める私立の学校に通う女子学生の父親が殺される。爽子はコンサートマスター。
河村は志乃を見舞う。
爽香の部下が殺された。その娘が河村衣子の勤める学園に通っていた。 パソコンやケイタイが出てくるぐらい
【精神を病んでいる人もいて、夫婦の間のことは、分らない】

萌黄色の
ハンカチーフ
カバー永田力
爽香35歳の春。
殺された被害者の近くに落ちていたというハンカチーフから。
今回は明男の浮気もなく安心した。
久々明男の母親が出てきた。

【知らぬ間に盗聴器が仕掛けられたり、巨大な権力に操られたり、犠牲になる恐ろしい時代が到来していると警鐘】
久々兄の充夫に苦労させられる。両親も出てきた。兄に関しては自分達の育て方の失敗だとあきらめている所が読者の救いでもある。 医者として 爽香の頼みを聞く。まじめに働いているんだなぁ 久しぶりに河村が「頼りになる元刑事」として出演。国家機密と警察との複雑に絡まった灰色の部分を感じる。 劇団主催者でもあり大学教授でもある男性が殺される。その近くに落ちていたハンカチーフを巡って 爽香は不可解な事件に巻き込まれてゆく。 ケータイがしょっちゅう出てくる。仕事場ではパソコンに向かってが当たり前。今回は盗聴器がメインのテーマであったようだ。
 表紙  タイトルはどこから  爽香と明男  爽香の両親と兄夫婦  爽香の親友浜田今日子  河村夫妻  事件について  当時の世の中
 
柿色の
ベビーベッド
カバー永田力
36歳の秋
 爽香に待望の長女珠実が誕生。
とくにそのベビーベッドが柿色だとはなかったと思うが。
 爽香はおなじみの信じられない忙しさ。ベビーシッターが珠実を見てくれている。明男は悪い癖が出てきたようだ。まだ舞のことをふっきれないでいる。  いつもはトラブルメーカーの充夫なのだが、なんとトラブルを起こせない身体になってしまった。兄嫁の態度、その息子の動向など気がかりなこと。娘が大変な思いをしている。両親もおちおちボケてもいられない。  久々に今日子に動きがあった。楽しみなことである。ただ、何かあると、また爽香の負担になるのではないかと気にかかるが。  今回は河村氏はおとなしい。衣子が時々登場。娘のバイオリンを買うかどうしようかと迷っている。一応この巻においては平穏である。  新事業のカルチャースクール引き継ぎにおけるトラブル、バス旅行で台風による土砂崩れで命を落としかける。また<Pハウス>の住人が起こしたトラブル。それに関してのみ死人が出た。  パソコンやケータイなど、とくに変ったものは出てこない。
ーーーー
今回は未解決の出来事が多く、余韻を残す終わり方になっている。
・カルチャースクールのこと
・明男のこと
・兄夫婦のこと
・刺された色沼の運命は。
 
コバルトブルーの
パンフレット
カバー永田力
この不穏な感じを彷彿とさせる表紙にトラブルの多さが分かるようだ。
37歳季節はわからない
 爽香の長女珠実も一歳に。
いったい「どんだけ〜〜」と言うぐらいのトラブルに巻き込まれる。というか自分から飛び込んで行っている。
 来た来た来た、また舞が明男にコンタクトをとって来た。そのことを彩香が知っているのが救いか。
もうひとつ彩香自身にも昔のクラスメートの画家との間に何かありそう。
充夫には昔の恋人がコンタクト。しかし、それは充夫にとってリハビリを頑張る原動力になっているのかも。妻の則子が別のトラブルに巻き込まれているよう。次号に展開か。なんと父親が倒れて終わっている。 今日子は出番なし。「親友がそばにいてくれたので」という一言のみ。どうやら今日子は妊娠していたらしい。次回に今日子が出てくるときは彩香の心臓に異常が現れた時ではないのかという不安がある。  今回はこちらの家族についてはまったく出番なし。つまり、それぐらい他の事でトラブルが在りすぎという訳。  引き続き新事業のカルチャースクールの経営向上の為に、奔走する彩香。依頼に行った講師のいるところで、二件のトラブルに。
 現代の不景気の波を大きくかぶったカルチャーセンターの経営問題を描く。
ケータイはもちろん、パソコンも大活躍。

【過保護の害】
【うつについて、回復へのきっかけとその後の事。難しい】

菫色の
ハンドバッグ
カバー永田力
38歳の冬
珠実2歳。
栗崎英子の80歳の誕生日の記念品のバッグのこと。
舞は明男に未練たらたらというか、執着心がいっぱい。
明男も爽香とは違う安らぎを舞に感じている。
爽香の方にも明男に癒えない秘密があって・・どうなります事やら。
前回父親が倒れてその6か月後に亡くなったという設定。
一人のこされた母親はボケている暇がなさそう。充夫夫婦はどうなることやら。
今日子は今回影も形もなし。その代わりというのもおかしいが、中川氏が二度ほど姿を表す。読者の立場としては楽しいが今後何かかかわってくるのだろうか。 久しぶりに河村氏が登場して、「おお、元気なんだな」と読者の立場で安心。でも、その息子にトラブル。それにしても、息子っていたっけ・・・? 今回の事件のメインはホテルの経営について。栗崎英子の誕生パーティの事で、そのホテルとかかわる。カルチャーセンターに関しても、ちょこっとトラブル。 経営難にあえぐホテル業界。どの業界も大変なのだが。
ケータイやパソコンのメールが盛んに出てくる。

【仕事に対する姿勢の大切さ】
 
オレンジ色の
ステッキ
カバー永田力
 39歳の秋
爽香と同級生の画伯リン山崎の属する絵画界の長老が持っていたステッキから。車のライトを浴びるとオレンジに光る。
 絵のモデルになったことを明男には打ち明けたものの、二人の間には心なしかよそよそしさが漂う。舞は明男の周りをうろつく。明男が事故を起こして、「つづく」となっている。  母親が爽香の娘の珠実を見てくれるのが助かる。兄夫婦は同居。兄の長女綾香が高須勇太郎氏の秘書になって家計を支えている。でも足りないので、爽香が援助するが、それも大変。  今日子がシングルマザーになっていた。(載ってたっけ)娘の明日香を育てながらてきぱきと働いている。  今回は爽香の部下が何者かに襲われてけがをさせられたときに、「それでも警察は請け合ってくれるのだろうか」と問い合わせたのみ。河村夫妻の長女爽子が今度ベルギーへ行くという。  爽香がモデルになってリン山崎が描いた絵が少なからず事件を引き起こす。
その間爽香に関係のある人たちに起こる事件の相談を受け、大忙しの爽香である。
 2012年のこと。珍しくフランス料理店が何度か出てきていたが、特筆すべきことは無し。節電の事でもあったらおもしろかったのだが。
【女は強し】かな?
 表紙  タイトルは何処から  爽香(主人公)と明男(爽香の夫)  爽香の母親と兄の家族  爽香の親友浜田今日子・その他  河村夫妻(夫は元刑事、妻が昔の恩師)とその家族  事件について  当時の世の中
 
新緑色の
スクールバス
カバー丹下京子
 40歳の冬
車にぶつかられた明男が、宅配トラックに乗れなくなったので、学校のスクールバスの運転手として働くことになった。そのバスの色が新緑色。
 やっとやっと明男と舞のことが片付いたと思ったら、また!この明男という男はいい男なんだろうけれど、女房にとってはたまらんね。爽香が自らを忙しいさなかに追いやる気持ちがよくわかる。  母親は出てこなくて、兄夫婦も直接は出てこない。会話の中のみ。二人して酒で気持ちを紛らわし、妻の方は肝臓をかなり傷めた模様。娘の綾香が頑張っている。  最後の方で、爽香の兄嫁の病状を教えてくれる。  爽子がバイオリンで優勝。
河村氏は病状がはかばかしくない。
 まったく関係のない会社の恋愛のトラブルが何故か明男に、爽香に関わっていく。上手いなと思うと同時に、長編を作るにはそういった仕掛けが必要ということなのだろう。 不景気をなんとかしようとあれこれ考えなければならない時代。イベントもその一つであるが、必ずしも当たるとは限らない。【難しい時代になっていることが表現されている。精神的に病んでいる人も多い。 】 

肌色のポートレート
カバー:アンドーヒロミ
41歳の秋
最後に堀口画伯の家に届けられる爽香のポートレートより 
 明男について。柳志津の場合は誘惑には乗らなかったようだが、大宅栄子に関しては時間の問題ではないだろうか。 母は年老いたが、爽香の一人娘珠実の事は見てくれる。兄は車いす。息子の涼に恋人が。娘の綾香は必死で働いている。 義姉の則子が亡くなった。  義姉の則子の葬式に来てくれる。

爽香の部下の久保坂あやめとその夫の堀口画伯(91歳)に助けられる面多し。
 河村氏は二度目の手術を受けることに。奥さんは学年主任として、教師を続けている。
 爽香の努めるG興産のプロジェクトにかかわる他の会社と役所との間で何かあったようで、それについて、その会社の女性が誘拐されるところに爽香が遭遇する。  なにか役所に関わることで閉口することでもあったのかな?と思えた。
想像に難くないけど。
今回からこういう形式でも書くことにする。
この物語で、大きな位置を占めているのが爽香の部下のあやめ。特に最後に堀口画伯の大邸宅が大いに役に立った。仕事上でもどれだけあやめに助けられているか。今回はラ・ボエームで爽香が人と会うことが多かったので、一度も出てこなかった中川満(爽香のことを気にかけている殺し屋:ラ・ボエームの実質的なオーナー)の表情まで想像できて思わずニンマリしたものだ。
あと、消息屋の松下にもおおいに世話になった。松下氏への報酬がいくらぐらいか出てきたことは無いが、ほんとうにそういう商売の人がいるなら私もお願いしたいことがいくつかある。相も変わらず困っている人の事が放っておけない爽香は無理をするが、今回は周りの人たちに「疲れた顔をしている。大丈夫か、無理するな。」と盛んに言われる。やっと自分の過労に気が付いたか?
それにしても、どうしようもない明男。持てる男なのか、女好きなのかわからないが、読んでる方はヒヤヒヤもの。
まあ、これが赤川先生の長編を書くためのアイテムの一つらしいが。(一度質問をしたことがあるのです。明男にはわざと浮気させるのですか?と。そうすると前述のお返事を頂いたしだい。)さて、爽香さん、41歳はまだまだ若い、とは言うものの、心臓は大丈夫か?

えんじ色のカーテン
カバー:アンドーヒロミ
42歳の冬
殺人事件の起こった家のカーテンの色から。
 明男について。前回、「大宅栄子に関しては時間の問題ではないだろうか」こう書いていた通りになってしまったようだ。詳しい描写はないが。娘にまで妙な考えを抱かねばいいがと思う。 爽香が旅行に行けるということは母はまだ存命なのだろう。兄の息子の涼とその恋人の岩本なごみが爽香の旅行に同行した。  浜田今日子についてはまったく触れられず。
爽香の部下の久保坂あやめも旅行に同行。
 河村氏は出てこず。奥さんの衣子(きぬこ)さんの依頼で淡口かんなを旅行に連れて行くことになる。  G興産の社長に無理やり休暇を取らされ、部下の久保坂あやめと旅行に行くことになったが、そこに淡口かんなが加わることになった。 犠牲になりやすい若い女性の行動に警鐘を鳴らしておられるのかなと思う。そして、なんでも金で解決しようとするその父親と闇の世界の暴力団について。
今回目につく活躍をするのが、爽香の甥(兄の息子)の涼とその恋人のなごみ。かんなが紀平に好意を持っていたのは紀平が職場でいじめられている気弱い雰囲気を漂わせた男であったからである。そういう人を守ってあげなきゃと思う女性も多いことだろう。あと男であれ、女であれ、権力を振り回す人間はいただけない。世間の理を言い聞かせても、かえって逃げて行くであろう若い娘の守に苦慮する爽香であった。消息屋の松下にも心配される爽香。中川さんも爽香を守るのが自分一人ではないと知って(知ったとしたら)ほっとするかな?もしかしたら、自分の役目を取るなというかな?明男も、松下氏に行動を見られているのがわかって浮気の虫も収まるといいのだが。明男の浮気が抜き差しならなくなったとき、爽香が心臓病で危篤状態に陥るのではないかと懸念している。でも、もしそこで明男が後悔して浮気相手と別れても、爽香が全快したら、またぞろ浮気をするのだろう。いやな男だねぇ。浮気相手にはいいかもしれないが、夫にするには最悪な男だ。
本編が面白かったのは言うまでもないが、文末についている特別短編の「赤いランドセル」が面白かった。助けた女の子の兄が彼だったとは。

栗色のスカーフ
カバー:アンドーヒロミ 
 43歳の秋
年男の浮気相手が持っていたスカーフから
 年男はだんだん抜き差しならない方向に行きそう。
大宅栄子がなにやらよこしまな考えを持ってしまったようだ。
 兄の娘の瞳が16歳になって心が揺れ動く。男には興味なし。先輩を慕う。  久々電話越しに浜田今日子が出てきた。ほんの二行ほどのことか。
相変わらず有能そうな女医である。
 河村家関係は一切出てこず。  G興産の取引先M地所の会長が死んで息子が後を継ぐが、そこの社員がいろいろ事件を引き起こす。  女癖の悪い男が登場。いつの世にも小説には取り上げられるキャラクターである。
 次巻では狂った女の怖さを知ることになるのだろうか、年男は。情報屋の松下氏はいい味を出している。G興産社長の田端は随分読者をがっかりさせる性格だったんだね。それにしてもどうだろう・・・年男と離婚するという考えは。娘もだんだんしっかりしてきているし。中川氏はどう考えるのだろうな。それとあの占い師のバックにはおおものがついているということだったが、それもわからずじまい。それにしても爽香の体調が心配。次号大風が吹き荒れそうな予感。
 表紙  タイトルは何処から  爽香(主人公)と明男(爽香の夫)  爽香の母親と兄の家族  爽香の親友浜田今日子・その他  河村夫妻(夫は元刑事、妻が昔の恩師)とその家族  事件について  当時の世の中

牡丹色のウエスト
ポーチ
カバー:アンドーヒロミ 
 44歳の春
子供達のバス旅行の時宿泊した旅館に落ちていたもの。
今回は大宅栄子の存在はなきがごとし。物語の早々に兄充夫の死去という出来事が起こるからそれどころではなかったのだろうか。 兄の娘の瞳がしっかりしてきて、後輩の面倒を見ている。男に興味が無いのは仕方のないことだろう。 冒頭の爽香の44歳の誕生日パーティにも今日子はオペで不参加。 元恩師のほう(衣子)だけ誕生日パーティに出てきたかな。娘の爽子はバイオリンのコンサート。志乃のむすめのあかねも中学生。  冒頭で女性が殺し屋に爽の娘の殺人依頼をする。G興産の取引先の責任者の妻が交通事故で老人を死なせてしまう、が逃げてしまった。  警察の捜査がネットで行われて、実情をとらえきれず。
「消息屋」の松下氏に事実を知らされる。
 驚いたことに優柔不断な年男と大宅栄子との絡みが一切出てこず、読んでいる方としては快適だった。年男がぐらぐらしだすと、ほんとうんざりする。でも、赤川氏いわく、長編を書くときにはトラブルメーカーが必要なんだ、と。いちばんのトラブルメーカーだった充夫がこの号で亡くなったので、次号ぐらいから、また始まるんだろうな・・年男と栄子‥憂鬱。今回は松下氏大活躍。最後に唯一中川氏面目躍如。
 45歳の冬
Gランドというテーマパークで事件が繰り広げられる。
今回も大宅栄子の存在はなきがごとし。どうしたのだろうと思う。あっちこっちで事件が起こるから今回もそれどころではないのではないか。 兄の息子が恋人と少し出てくるぐらい。 浜田今日子はどこでどうしているのやら。 衣子と河村の娘の爽子は一流のバイオリンイストに。志乃や志乃の娘は出てこない。ある人との別れがある。  オレオレ詐欺がいきなり出てくる。それに加えて、幼児誘拐事件。
それに伴う殺人事件など、爽香の身体は大丈夫か?と思う。
前回と大きな違いはないが、最後の方で消息屋の松下氏が出てきて少しホッとした。中川氏は一言つぶやいただけ。
 今回も優柔不断な年男と大宅栄子との絡みが一切出てこず、読んでいる方としては気になる。次回ぐらいにどろどろと出てくるのはやめてほしい。今回は松下氏大活躍。もうちょっと中川氏が活躍してくれると嬉しいけれど。今回もいつも通り、ページをめくる手が止められなかった。
 46歳の秋
家族旅行先で、入水自殺を図ろうとした女性を爽香と明男。その背景には・・・
今回も大宅栄子の影もなし。読者としてはないほうがいいのだが、どうなったのかの結末がわからないのが気になる。もう終わったの? 兄の息子涼の恋人なごみが出てくる。なごみの勤め先も事件に関係あり。 珍しく浜田今日子が子供(明日香)連れで参加。夫を亡くした河村衣子を元気づける会に今までの懐かしいメンバーが一堂に集まった。消息屋の松下もである。 この年の初めに亡くなった川村のためのパーティでもあるので、早川志乃とあかね、爽香の母親の真江などオールスターズという感じ。中川氏が参加できないのが残念。  人気アナウンサーの降板、でっち上げられた不倫疑惑。現総理に反発する人々への圧力、すべてに官邸ご用達と名高い大物作家がかかわっているとにらんだ爽香は次第に事件の真相へ。 今回はネットに載って拡散していくことの弊害などが表現されていた(ように思う。)
大宅栄子が一切出てこず、非常に気になる。中川氏の活躍の場がないということはいいことなんだろうけれど少し残念な気もする。今回もいつも通り、ページをめくる手が止められず、届いたその日に読んでしまった。実は2019年10月からの消費税値上げの準備がまだ完結していなくてそういう場合じゃなかったのだが。煮え詰まっていたのが、風通しが良くなった気がする。
 47歳の冬
爽香たちの高校の時の同級生が殺人犯容疑者に。
今回も大宅栄子の影もなし。もう別口と結婚したのかな?そう思ってもう忘れよう。 姪の瞳が歌手の薬物吸入の場面に遭遇していまう。 浜田今日子は出てこず。消息屋の松下は出てきたのかな? 中川氏が絶望して入水しそうな瞳を思いとどまらせる。
薬の仲買人を通報したことで狙われるかもしれないと、自分で心配している。
中川氏も50歳になった。
 火事現場で上から落とされた女子大生を受けとめるという、下敷きにならざるを得ない経験をする。そこからまたもや事件に巻き込まれていく。 今回は政治家の家庭内のごたごたなども書かれていて、どちらさんも大変だなと思った。
このところ平安時代、江戸時代といった時代ものばかり読んでいたので、痛快赤川節に本当に久しぶりに触れた。やはりページをめくる手が止められないのは昔のまま。爽香が年を取るということは、赤川先生も、そして私たちも、年を取っていくということ。お元気で書き続けてくださる赤川先生に感謝。

狐色のマフラー
爽香48歳の秋
 48歳の秋
G興産の社長田端の忘れ物。。
今回も大宅栄子の出番なし。
明男との夫婦仲はすこぶるいいように見える。一人娘の珠美は12歳。なかなかいい子に育っている。
姪の瞳がちょこちょこ出ていたが、ストーリーに大きくかかわることはなかったと思う。。 浜田今日子は出てこず。
消息屋の松下には大いに世話になった。つまり、田端の新しい秘書のプロフィールなど調べてもらった。
51歳の中川氏は出てこず。
河村衣子の娘の爽子はバイオリニストとして世界を飛び回っている。
 G興産にひそかに吸収合併の話があることを知るが、田端社長に何か秘密があるようで。その他あちこちでごたごたが起こり、爽香が頼られる。 今回はメールでのやり取りのことなどが出てきていたが、そう大きな事柄もなかったような。
このところ平安時代、江戸時代といった時代ものばかり読んでいたので、痛快赤川節に本当に久しぶりに触れた。やはりページをめくる手が止められないのは昔のまま。←この文章は去年のものであるが、そのまま使えるなと思った。今回も明男の浮気場面が出てこなかったので、ストレスなく読めたが、どう考えてもおかしい。大宅英子に関しては何の結末もないまま。舞がリン・山崎と結婚したのとは対極をなす。慢性疲労と具合のよくない心臓を持っている爽香にストレスを与えてほしくないものだと思う。

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